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「入学おめでとう。君たちの入学を心から歓迎する。知っている者も多いと思うが、この学校は生徒の自主性を重じている。
つまり、君たちの行い、その判断力こそがこの学校を築き上げていくことになる。
私は君たちとより良い学校を作りあげていきたいと思う。」
先ほどの学校長の言葉より印象的な言葉を語り、堂々と話す男は、新入生の目を釘付けにしていた。
「私からの話は以上だ。生徒会長、如月俊樹。」
その言葉を言い終わると、綺麗な所作で壇上をおりる。
ー生徒会ー
この挨拶から学校内で、よほどの権力を保持している事が伺えた。
再び始まったPTA会長の明日には忘れてしまいそうな挨拶も終了し、式は滞りなく進む。
そして教頭の閉式の言葉を合図に再び壇上に登場した者は、まだ耳覚えのある声で言った。
「今から生徒会役員挨拶ならびに部活動紹介を始める。」
新入生はザワザワと騒ぎ始める。聞こえてくる雑談の半数以上が「部活、たくさんあるんだよね?」「何に入るか決めた?」といった不毛な会話だった。
仲良くなろうと必死なのか。
自分の中でふに落ちる解釈を見つけ、理解できないことを無理やり納得させる。
私は周りの新入生に向けていた視線を、壇上に目を移した。
ーあの人ー
生徒会長の後ろにずらりと整列した生徒の中に、ブローチを付けてくれた先輩が立っていた。
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