第一部 ー青嵐高校ー

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壇上に一列に並んだ生徒は全員、生徒会役員らしかった。マイクを持った生徒会長が上手側から順番に紹介していく。 「ーーそして、保健委員長、木岐(きき)ひなの。」 私にブローチをくれた先輩は、そう紹介されると微笑んで、軽くお辞儀した。彼女のセミロングの黒髪が揺れる。 目が、合ったような気がした。 生徒会役員全員の挨拶が終わると、会長から生徒会書記である西野 筝にマイクが渡る。部活動紹介の司会は彼女が行うらしかった。 正直、私は入りたい部活なんてない。わざわざつまらない馴れ合いをするつもりなんてないのだ。 「次、新聞部。」 その声を合図に巻物状に丸められた、大きな模造紙を持った数人が壇上にあがる。 新聞部があるとは珍しい。 「私たち新聞部は、現在三年生ニ人、二年生二人の計四人で活動しています。報道とは、正義でも事実でもなく、真実を伝えるものであるという言葉をモットーに、日々新聞制作に励んでいます。 興味のある方はぜひ、新聞部の部室である南館四階会議室にお越しください。」 代表ーーーおそらく部長であろう先輩がそう言うと、後ろで待機していた他の部員が模造紙を勢いよく広げた。    『入学式=虚偽の集塊』 模造紙には、この文字が筆で勢いよく書かれている。 笑えるわけでも、心に響くわけでもないこの言葉は新入生を引かせるには十分なようだった。体育館は静寂につつまれる。 新聞部部長のしたり顔が鮮明に記憶に残った。
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