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報告書は、事細かく記入し、情報を皆で共有した後、GF幹部へ提出しなければならない。悩むのが、ヨーゼルの記憶の中を見たような気がしたんだけど、それも記載するべきなのだろうか。だけど、あの記憶の中に、何か大きな情報があったかと言うと、そうじゃない。
「………」
俺は、記憶の中とかの幻想は、報告書には書かない事にした。だって、闇と話したとか、闇の子の夢とか、そんなの書いてたら意味が分からなくなる。見てる張本人の俺ですら、何一つ訳が分かっていないんだから。
報告書に上げるのは、ハンズドア国で、急に増えた殺人事件の真相は、シャタールで闇を発症し追放された者たちの犯行だった事、そして、ハンズドア国が、シャタールの傘下の国の一つである事。あとは、ヨーゼル、そして、ランセルが、死亡した事。
俺は、報告書を作成した後、そのデータを野々村さんへ送った。後は野々村さんが、皆の報告書をまとめて上の幹部機関へとデータを送る。
「よし、報告書が集まった。あとは皆、帰っていい………」
野々村さんが口を開いた時、彼の話しを遮るように、事務所の扉が勢い良く開けられた。
「野々村!」
扉が開いた瞬間、大きな声を上げた男の姿が、俺の目に飛び込んで来た。
「ノン先輩!?どうしました?」
野々村さんは、ノン先輩と言う戸を開けた男の人の顔を見て、目を丸くしていた。
野々村さんは立ち上がって、ノンさんの元へ行く。
「帰って来たんだな。ニュースは見たか?」
ノンさんは、焦ったような面持ちで早口で話した。
「ニュースですか?本当に今帰って来まして…。なにかありましたか?」
野々村さんは、ノンさんのただならぬ雰囲気を察したのか、戸惑うような声を上げた。
「殺界の長とGFの当主の対談があったらしい」
ノンさんは、言った。
「な…」
野々村さんは、驚きのあまり、言葉に詰まっている。それは、野々村さんだけではなく、俺たちも一緒だった。
殺界とGFはこの世の二大勢力と言われる巨大な組織だ。殺界の長がルイス・ザケット、GFの長はフリーズ・ラバリス。この二人が、世界の二人頭首と呼ばれる人物。
殺界の長と、GFの長が、対談…。
ノンさんは、言葉を失う俺たちに向けて、更に続けた。
「何かが、大きく変わるぞ」
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