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「で、どうしてあの人と居たの? どうしてスマホの番号もアドレスも変わってるの? 実家には帰ってる様子ないし、会社に電話してもいつも居ないし。なんなの? どうなってんだよ」  瞬の部屋まで連れて来られた晃平は、玄関で瞬に抱きしめられたまま、矢継ぎ早に投げかけられる質問に、あ、とか、う、とかそんな曖昧な言葉で反応する。 「なあ、どうなの?」  目をまっすぐに見つめられ、晃平は俯いた。瞬が俯くな、と晃平の顎を持ち上げる。 「ごめん……」 「俺、すっごい探したんだよ。なんのアテもなくて、でも、晃平は……晃平だけは手放したくなくてとにかく人ごみを目指して探した。――すごくね? 俺。そんなんで、今日お前のこと見つけたんだよ? 何があったのか知らないけど、お前は俺のとこに戻る運命なんだよ」  わかるか晃平、と真剣な目で言われ、晃平は頷いた。 「……僕だって、瞬と離れたくなんてなかった」  でも、と言いよどむ晃平に瞬はため息を吐いた。  そうされても晃平には言えなかった。体を投げ出して瞬の職場を救おうとした、なんて知られたくない。きっと瞬は悲しむ。 「――わかった。口で言わないなら、体に聞く」  瞬はそう言うと、晃平の体を抱き上げてベッドへと降ろした。 「しゅ、瞬。待って……」 「待たない。晃平が素直に全部吐き出すまで放してやらないから」  瞬は言うと、ジャケットを脱ぎ捨てた。その乱暴な所作が男らしくて眩暈がする。  ぼんやりしていると、瞬は晃平に手を伸ばし、器用にネクタイを引き抜いた。すかさずそれで晃平の両手首を頭上で戒める。 「え、瞬……何?」 「お仕置き。ちゃんと全部言ったら解いてやるよ」  言うと瞬は、晃平のシャツを開き肌に指を滑らせた。柔らかな指に晃平の肌が粟立つ。 「ちゃんと……言わなきゃダメ? 僕、もう瞬から離れたりしないから……」  解いてよ、と晃平は言うが、瞬は首を振った。 「そうやってすぐ隠し事しようとするからダメ。それに、晃平のことなら、なんでも知りたいんだよ、俺は」 「瞬……」  気鋭に笑われ、晃平がその顔を見上げる。すると、瞬はまた指を動かし始めた。胸の突起を弄ばれ、晃平は切ない声で喉を震わせた。 「なあ、晃平。どうしてアイツと居たの?」 「アイツって……い、がき、さん……?」  指で、唇で、胸をせめられ、晃平は上がる息の間から聞き返す。 「そ。なんで?」 「それは……一緒に食事、して……」  晃平はそれだけ言うと黙り込んだ。瞬はそんな晃平を見て、じゃあ質問変えるね、と微笑んだ。けれど、その手は容赦なく晃平のベルトを外し、前を寛げている。 「俺に黙ってスマホ変えたの、どうして?」  寛げたスラックスの隙間から、瞬の手が晃平の中心を引きずり出す。既に半分天を向いた自分が恥ずかしい。 「そっ、れは……」 「俺と別れるつもりだったんだろ? 例の計画が原因で」  瞬の指は器用に晃平の中心を扱く。晃平はその刺激と、瞬の言葉に息を詰まらせた。 「ど、して……」 「俺を甘く見てるだろ、晃平。お前の考えてることくらいわかるって。でも、それを引け目に感じて別れるなんてバカだからやめろ」 「でも……真一さん、は……」  別れて欲しいと言っていた。信用のおけない人間だと言われた。瞬には釣り合わないと、自分でも思う。 「あんなおっさんの言うこと気にするな。今、大事なのは俺とお前だけだ」  瞬はそう言うと、晃平の中心を口に含んだ。晃平がひゃっと声を上げ、瞬の髪を掴んで眉を下げる。 「そんなこと、されたら……話せない……」  ダメ、と首を振るが、瞬は辞める気配もない。無言で前と後ろ両方を刺激し、晃平を高みへと連れて行こうとする。晃平はそれに耐えるのが精一杯だった。晃平の頭が白くなり始め、絶頂が近いことを伝える。乱れた息の間から甘い声を漏らした、その時だった。瞬の動きが止まり、晃平の中心の根元をしっかりとその指が締め付けた。 「しゅっ……! やだ、痛いよ、離して……」  涙を溜めた目で晃平が訴える。けれど瞬は首を振った。 「俺が味わった苦しさに比べりゃ全然だよ――有頂天から奈落に突き落とされた俺の気持ち、わかる?」  恋人と、恋人として繋がった初めての夜が明けたら、幻のようにその人が消えていた――その辛さは想像できる。どうして、なぜ、と頭を抱えただろう。瞬を傷つけた、それは分かる。 「ごめん、瞬……ごめんね」 「今、謝って欲しいんじゃないよ、晃平。俺は、そういう判断をした晃平の、心の中が知りたい」  舌先で優しく晃平の頬を舐め、流れる涙を掬い取る瞬が、耳元で囁く。 「何を考えてたの? 俺との連絡経路を完全に絶って、何をする気だったの?」  瞬は優しく問いながらも、晃平の中心を強く握っていた。中心は小刻みに震え、しどけなく蜜を零している。瞬の手を跳ね除けて自分で出したい衝動はあったけれど、肝心の手も戒められていてそれもかなわない。限界は、近かった。 「だって……瞬の働くとこ、助けたかったんだ……井垣さんに、話、持ちかけられて……でも、瞬のこと裏切りたくなくて……」  頭はただ出したいという一点だけに集中し始め、話も支離滅裂だ。晃平が、だからね、と言葉を繋げようとした時、瞬がふと手を離した。 「続きは後で聞く。俺が限界」  瞬はそう言うと、自分の衣服も寛げて晃平の内側へと自身を埋め込み始めた。晃平が吐息を漏らすように体から力を抜く。 「頼むから、もう俺の前から消えないでくれ」  瞬の言葉が胸に刺さる。晃平は頷いて、瞬の背中に両腕を廻した。
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