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 暗い中、布団の上で天井を見上げる。静かな夜は、考えたくないことばかり考えてしまい、何度も寝返りを打った。  頭の中に、寺で会った男性の言葉がよみがえる。  人間じゃないものと交わり、その相手と強く結びついている。その結果、僕はどうなるんだろう。  考えてはいけない部分に足を踏み入れるような恐怖が、胸をかすめる。  怯えながらも、それでも、念珠郎を愛しく思う気持ちに嘘はない。  最初の頃は、見えない何者かの気配が怖ろしかった。が、彼の優しい行動に触れて、見えなくとも一緒にいる空気が徐々に愛おしくなった。  そうだ。念珠郎を受け入れると言ったのは僕だ。それを後悔はしていない。  そう思った時、寝室の襖が開いた。念珠郎が入ってくる。部屋は暗くて、端正な顔は見えない。 「念珠郎?」  希は上半身を起こした。すぐ近くに、念珠郎が座る。  彼の手が肩を押してきた。布団に倒される。  念珠郎は、無言で希にまたがった。ひんやりとした手を、頬にそえる。 「希、今回は嘘をつかないでください。本当は、寺で何かあったのでしょう?」 「……気づいてたの?」 「希は嘘が下手ですからね。それに、人とは違う匂いも残っていますから」 「匂い? 僕、風呂入ったけど」 「風呂では落ちない匂いです。何と会ったんですか?」  頬を撫でながら、教えてください、と言う。その甘くて優しい声は、不思議な魅力を持っていて、力が抜けそうになる。
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