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「何だったのか僕もよくわからないんだけど、寺で、お坊さんと話したんだ。でも、一瞬で消えちゃって……」
「そいつに何か言われたんですね?」
「……念珠郎と僕が、結びついているって」
「他には?」
希は一瞬黙った。けれど、嘘を突き通せないと思い、口を開く。
「念珠郎のことを、生半可な気持ちで相手にするには、まずい相手だ、って」
沈黙が流れた。
表情が見えないと、何を考えて、どんなことを思っているのか、わからない。どんな言葉が返ってくるのか、緊張しながらじっと待つ。
「訊きましたよね、俺。戻れなくなるがいいか、と。希は、いいと言ってくれました」
「……うん」
「それなのに、迷っているんですか? 俺といることを。俺を受け入れたことを、後悔しているんですか?」
声が妖しいものへと変わる。すがりつくような口調だった。
希は頭を振る。
「後悔なんてしてないよ。僕は、念珠郎が好きだ。離れたくない。でも、改めて、人間じゃないって言われて、得体のしれなさにちょっと怯えちゃって……ごめん」
なぜか、念珠郎は吐息をこぼすように笑った。頬にあった手が、顎を伝い、喉を撫でる。そのゆっくりとした手つきが、体の奥の熱を刺激する。
「希は素直ですね。そういうところがすごく、愛おしいです」
ふいに、唇に温もりが触れた。柔らかな熱に覆われる。
「ん……」
念珠郎の唇に何度も吸い上げられる。
「希」
艷やかな声が名前を呼べば、先日と同じく、あの薬を飲んだかのように体が火照り始めた。
希の呼吸が荒くなる中、熱い舌が口内へ侵入する。
「っ……んっ」
舌を絡め合い、念珠郎の唾液を飲み込む。
体が熱い。肌がびりびりする。心臓がうるさいほど鳴っている。
念珠郎の手が、胸を撫でた。服の上から、胸の先端を指先でいじる。敏感になった体は、それだけで腰が跳ねた。
「んっ、んっ」
先端をくにくにと指でいじられ、舌を吸われると、腰回りに電流が流れる。
部屋にくちゅくちゅという音が響き、顔が赤くなった。
念珠郎が口を離す。
口内に残った甘い唾液を飲み込んでいると、服を胸上までまくられた。
手のひら全体で腹と胸を撫でられる。それを数回繰り返した手が、突起に触れる。
「――っ」
直に指の腹で愛撫され、そこから快感が生まれていく。
「……んっ」
「声、抑えないでください。希が感じている声、もっと聞きたいです」
「あっ! つまんじゃ、だめ、だ……っ」
「希の『だめ』は、気持ちよくて怖いって意味ですよね? 大丈夫です、快感に身を任せてください」
突起を指でつままれた。思わず口に当てた手を、外される。
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