一人と、

5

　今まで、そこを自分でいじったことはなかった。それなのに、こんなに感じるのは、念珠郎に名前を呼ばれて、体が熱くなっているからだろう。

　つまんでいた指が、突起を弾く動きに変わる。素早く何度も弾かれる。そして、左のそこに、彼の唇が吸い付いた。

「んんっ……はあっ」

　吸い上げ、舌で転がし、甘く噛まれる。気持ちよさと、未経験の感覚でいっぱいいっぱいになり、もう何も考えられなくなる。

「あっ……あっ、念珠郎っ」

　胸にうまる頭に手を回して、柔らかな髪をまぜた。
　ぷっくりとしたそれを少し強めにつままれ、指先で擦られる。同時に、もう片方は強く吸い上げられて、ぞくぞくっと熱が背中を駆け抜けた。

「あああっ」

　気がつくと、たかぶった自身から熱が飛び散っていた。
　頭が甘く痺れ、ただ呼吸を繰り返す希の上で、念珠郎は満足そうに微笑む。

「ここをいじられるの、好きになりましたか？」

　両方の突起を、手のひら全体で撫でられる。

「いじったこと、なかったのに……んっ、こんなに、感じるなんて、こわい」
「希は、今、とても敏感な体になっているんです。熱くて熱くて、たまらないでしょう？」
「んっ、念珠郎に、名前、呼ばれるとっ、あっ、時々、変に、なるっ」
「それは、希が俺の霊力を受け入れたからですよ。ここも、変わったでしょう？」

　手が下がっていき、下腹部にたどり着く。止める間もなく、優しく押された。

「――っ！」

　腰が砕けるような快感に襲われる。
　念珠郎は数回押した後、手を離した。

「ここを触られて乱れる希も見たいですが、そろそろ俺も限界なので」

　念珠郎によってうつ伏せにされる。尻を持ち上げられ、後ろに突き出すような体勢になる。

「こっちをほぐしますね」

　唾液でぬるぬるになった指が、そこに押し入る。今回も、念珠郎の唾液は乾くことがないまま、指が進んでいく。
　痛みはないが、まだこの感覚には慣れない。異物感に眉を寄せる。

「すぐに気持ちよくなりますから、少しだけ我慢してください」

　順調に一本の指を飲み込んでいく。
　ある程度入ると、小さく前後に動きはじめた。中と擦れ、少しずつ気持ちよくなっていく。

　二本目が入ってくると、再び異物感を覚えるも、快感が勝っていた。

「もう少しで、一つになれますからね」
「もう、いいよっ……念珠郎と、繋がりたい……っ」

　指の動きが止まる。

「希……」

　初めて聞く声だった。感情がたかぶったような、切羽詰まったような声に、胸が甘く締め付けられる。