【02】甘くて苦い朝

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 また「96」の存在を知った者は、法の(もと)で再び社会の一員として復帰することは不可能とされている。 ・「96」メンバーたちには優秀な能力とハイリスクを考慮し、作戦完遂ごとに破格の報酬が約束されている ・「96」の存在が表沙汰になった場合は、警察によって非公式に作られた特殊チームであることを警察は一切認めない ・「96」に関わる情報を守るために、班全員を闇に葬る場合も考えられる  正攻法では入手が困難な証拠や情報を、社会の裏側から入手し警察に協力する。  それが法を守らない代わりに法に守られることもない「96」の存在意義なのである。  そんな精鋭「96」の初期メンバーの一人でもあり、通称「アザミ班」と呼ばれる00班を束ねるアザミ班長の自宅を知っているのは、同棲中の恋人ただ一人だ。  住宅が密集していない郊外の土地を贅沢に使って建設された高級マンションは住む者を選ぶ価格ではあるものの、都心と行き来しやすい主要道路の近くという立地の良さやセキュリティに特化した造りであることなども含めて、充分な付加価値を備えている。
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