1、イケメン彼氏は突然に?

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「入るよ」 そう言って、ドアを開けたのは、昨夜のお兄さんだった。 「やっと起きたな。頭、大丈夫?体は?どっか痛いとこない?」 「…うん。あ、あの、昨夜は、ごめんなさ…」 「まったく、災難だったよ。あれから、あんた、気を失うしさ。救急車で も呼ぼうって話なったけど、血はかすり傷で止まってるし、それに」 「それに?」 「あんた、よっぽど疲れてたんだな?がーがー、いびきかくしさ」  肩を震わせながら、彼は笑いを噛み殺していた。 「マスターと片付けながら、一旦、店のソファーで寝かせてたんだけど、 あまりに起きないし、家調べようにも、あんたの私物あさるのも気がひ けてさ…マスターとも相談して、とりあえず、俺の家、近かったから。 マスターの車で運んだんだよ」  「うわぁ……」 自分が情けなさすぎて、恥ずかしすぎて、まともに声が出ない。 「本当に…昨夜から、ずっと、すいませんでした」 やっと、きちんと謝れた気がした。  翔平は、うんうん、と頷きながら。 「それよりさ…あんたの携帯、結構、鳴ってたけど?大丈夫?」 心配そうにバッグを指差す。 「え……、あの、今…何時?」 「ん?ああ、金曜日の9時すぎ、かな?」 「えっ!ええっ??朝、9時ぃ!?」  つむりは、あたふたしながら、バッグに手を伸ばす。 が、頭のズキズキと体のだるさ、右足の痛みに手があと少しで伸びきらな い…。 「ほれっ」 翔平が、ひょいとバッグを取り、そのまま、つむりに渡す。
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