1、イケメン彼氏は突然に?

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「わっ…」 「おいっ!」 酔いが残っている足は、うまく地面を踏めず、さらにヒールがグキリとバ ランスを崩させて、支えようとした翔平の手も間に合わず顔面から壁にす り寄るようにして倒れてしまった。 「あたたたた…」 「大丈夫かよ?」 「うん、大丈夫。平気、平気…へへへ」 「…あ」 「…あ?」 「…あーあ」 「…あーあ?」 同じ表情で、固まる翔平とマスターを見合せながら、つむりも、遅れて気が ついた。  額の左側が、擦り傷となって熱く、手をやると出血していた。 おそるおそる目の前に自分の手をかざす、つむり。 左手の半分以上が、ほぼ真っ赤に染まっている。 「大丈夫か?」 「つむちゃん、大丈夫!?」 視界に映る二人の顔。 私は、血が苦手だ…とくに、自分の血は苦手…だ。 「はは…大丈夫、大丈夫、です。」 何とか立ち上がろうとした。 ボクシングの試合みたいなイメージで、立ち上がってファイティングポーズ でもきめて、安心させなきゃ、と思った。 「大丈夫、大丈夫、大丈夫…じゃ、ないか、も」 私の意識は、そこで、なくなった。
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