02.テレワーカーの叫び

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あれから二年。 気付けば、閉鎖された支社メンバーは転職したり、寿退社したり。 社長の鳴り物入りでスタートしたテレワークをしているのは、、僕ただ一人だ。 このロイヤリティの高さ、もっと評価してくれて良いのではないか? 当初は、光熱費がかかるとか、通勤手当がなくなったとか、文句ばかりの妻だったが、 掃除洗濯を仕事の合間に出来る(させられる)点や、 中学校から、体の弱い娘の早退依頼がある時に、すぐに迎えに行ける点などが勝り、不満は聞かれなくなった。 僕自身は、一日二時間を費やしていた通勤時間がなくなったお陰で、有意義に過ごしている。 国内の同僚七十名は、何故テレワークをしないんだろうと疑問にさえ想う。 我が社は海外――ベトナム――にも拠点を構えている。 元々はホーチミンに支社があったが、都市の魅力からダナンへ支社を移転した。 ダナンスタッフは五十名を超え、来年度には日本国内よりも多い人員になる見込みだ。 ホーチミンスタッフは僕同様、テレワークしている。 テレワーク従事者、日本一名(僕)に対して、ホーチミン十名。 通常業務もそうだが、働き方改革の点でも、日本よりベトナムの方が先端を行くだろう。 案外、僕達の仕事を奪うのは、AIではなく、ベトナム人かも知れない。 ある日、新型ウイルスの国内感染者の増加により、テレワークが加速していった。
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