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その腕で、あたし以外の女のことも抱きしめたの?
…小さなきっかけで何処までも悪い方向に思考が働く。
自分の身にふりかかった嫉妬心…こんなにも苦しいんだね。
今マサイ族になりたい。
マサイ族は嫉妬を感じない部族だって聞いたことがあるから。
湧き上がる嫉妬と焦燥。
あたしは抱きしめられている腕を力付くで退いて、綾人の体の上に乗った。
「なんだ。やっぱ狸寝入りだったか」
『ねぇ…』
大胆な行動を起こしても、なお綾人は冷静。
真っ暗でも分かるくらいに表情を1つも崩さない。
「なんだ?」
今日仕事だったんだよね?その言葉は言えずに…飲み込んだ。
その代わりに出てきた言葉は…
『シヨっか?』
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