疑惑の皐月

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『今日は何が良いかな?』 食品を見ながら、綾人へ問いかけた。 「昨日はビーフシチューだったよな。うーん…作るの面倒じゃなければ、明里が作ったハンバーグが食べたい」 『ハンバーグか!そういえば、最近作ってなかったし。そうしようか』 相変わらずハンバーグが好きなところは変わらないね。 あと何回、綾人にハンバーグ作ってあげられるのかな? そんなことを不意に考えると、一気に景色が歪んで見えてしまった。 …落ち着け自分。 買い物に神経を使って、どうにか涙を振り切った。 お肉コーナーでひき肉を探していると…横から、こちらを見ている女性がいた。 目が合ったような気がしてすぐにそらすと… 「明里ちゃん?」 その女性は、明るい表情であたしの名前を呼んだ。
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