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やっぱりだ。この山のどこかにかなえがいるなんて、それこそ運命だ。こんなところで会えるなど万に一度もない話。功太はまぐれではないことを確信し、さらに叫び続ける。
「かなえーー! かなえーーッ!」
「こうたーー! こうたーーッ!」
「かなえーー! おーい! ここにいるよ〜!」
「ここにいるのはわかってるから、さっさと起きなさいって」
パカーンと頭を軽く叩かれた気がして目を開けると、目の前には前髪をクルンと巻いたメイク途中の母親がいた。
「何だか知らないけど、朝っぱらから叫ぶのよしてくれない? うちには〝かなえ〟なんて子いないんだけど? もう7時過ぎてるから早く支度しないと学校に遅れるわよ」
「何だよ……折角山頂まで登ったのにさぁ。
オレの名前呼んでたのは母ちゃんだったのかよ」
功太は渋々起き、これから運命の相手になってほしい彼女のいる学校へと向かう。
《 完 》
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