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なんだ、そんなことかと思ったのも束の間。うちの雛人形はお雛様とお内裏様二体しかないのに大きな台に乗せて盛大に飾り付けをしているのだ。「パーツひとつ残さずしまうのじゃ」という言葉で心が折れそうになった。何せお雛様の持っている扇子が今年飾った時から行方不明なのだ。
「まじですか」「まじじゃ」「まじかー」
どうしよう
「全部しまえなかったらどうするんですか」
「今年は貴様に撮って厄年になるだろう、今年の分の厄を吸い取ることができんからな」
「そーんなー」自慢ではないが、私は無病息災が自身の長所だと思っていた、幼稚園の頃からインフルエンザなど言わずとも、風邪などの病気にもなったことがないからだ。
「お主が無病息災なのはお主の母親が3月6日までにきちんと片付けをしていたからじゃ、毎年必ず、欠かさずじゃ」そうなのか、そういえばお母さんは雛人形の期間についてうるさかったのを思い出す。あれは私を思ってなんだ。
じゃあ今、私が片づけられなかったらお母さんの努力を無駄にしてしまうような気がする。
「はい、分かりました。今夜中に扇子を見つけて、妾様たちを片付けて見せましょう!」「それでこそ下村家の女の子じゃ」
「よっしゃー、やるぞ!」と小夜は深夜2時過ぎに意気込んだのであった。
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