5 真実と魔王とプロポーズ

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5 真実と魔王とプロポーズ

「つまり」 僕は、言った。 「君たちは、異世界からの転生者、だということ?」 滝本 天音と、五月 奏は、僕の部屋で床の上に正座して僕のことを見上げて 頷いた。 僕は、二人をまじまじと見つめていたが、やがて、二人に言った。 「それを信じろと言われても、ちょっと、 困るな」 「なんで?」 天音が僕の方へと体を乗り出して言った。 「あんた、俺たちの話を書いてるじゃないか」 「あれは、別に、君たちの話なわけじゃない」 僕は、二人の前に置かれた椅子に腰かけて二人をじっと見た。 二人とも、嘘をついているようには、見えない。 だけど、こんなこと、信じることなんて、できない。 よりにもよって、僕が書いている小説の中の世界と同じ世界からきたなんて、信じることができるわけがない。
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