584人が本棚に入れています
本棚に追加
「『ごっこ』なんかじゃねぇよ」
天音がいい、奏もそれに頷いた。
「俺たちは、嘘なんか言ってません。俺たちが真実を言っているってことの証人だっているし」
「証人?」
「ああ」
奏が、気が乗らない様子で言った。
「津宮先生は、俺たちと同じ異世界からの転生者だ」
「征一郎が?」
「そうです」
奏が僕に向かって懸命に訴えかけるのを僕は、きいていた。
奏は、言った。
「奴は、確かに、魔王グレイザの転生したものに違いない」
「魔王、だって?」
確かに、物語の中で魔界を統べる王としてグレイザは、登場していた。言われてみれば、グレイザの外見は、征一郎のそれとよく似ている。同じ、黒髪で、少し、影のあるイケメンというところは。だが、グレイザの瞳は、血のように赤い筈だった。征一郎の目は、普通の黒色だった。
最初のコメントを投稿しよう!