5 真実と魔王とプロポーズ

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「『ごっこ』なんかじゃねぇよ」 天音がいい、奏もそれに頷いた。 「俺たちは、嘘なんか言ってません。俺たちが真実を言っているってことの証人だっているし」 「証人?」 「ああ」 奏が、気が乗らない様子で言った。 「津宮先生は、俺たちと同じ異世界からの転生者だ」 「征一郎が?」 「そうです」 奏が僕に向かって懸命に訴えかけるのを僕は、きいていた。 奏は、言った。 「奴は、確かに、魔王グレイザの転生したものに違いない」 「魔王、だって?」 確かに、物語の中で魔界を統べる王としてグレイザは、登場していた。言われてみれば、グレイザの外見は、征一郎のそれとよく似ている。同じ、黒髪で、少し、影のあるイケメンというところは。だが、グレイザの瞳は、血のように赤い筈だった。征一郎の目は、普通の黒色だった。
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