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しばらくして、僕が落ち着いてきたのを見計らって、征一郎が言った。
「真弓、俺のパートナーになる気はないか?」
「えっ?」
僕は、驚いて顔を上げて征一郎のことを見た。征一郎は、いつもと何も変わらない様子で僕のことを見つめていた。僕は、顔を赤らめて、視線をそらした。
「何、急に」
「急じゃない。前から、ずっと思っていたんだ」
征一郎は、僕の手を取って、僕を、熱い眼差しで見つめて言った。
「どうか、俺のパートナーになって欲しい」
「征一郎」
僕は、征一郎の手をそっとほどくと、言った。
「だめだよ、僕なんて。だいたい、僕は」
「あの二人と何があったのかは、聞くつもりはない」
征一郎が言うのを聞いて、僕は、打たれたように、はっと顔をあげた。征一郎は、ため息をついた。
「やっぱり、あの二人に何かされたんだな?」
「あっ・・」
気まずい雰囲気に、僕は、言葉を探していた。
「あの・・二人とも、自分達が何をしてしまったのか、よく理解していないみたいだし、僕は、二人を許したいと思っているんだ」
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