6 憂鬱な花嫁と魔王の告白

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最近、何かと、僕に触れてくるようになった。どこでも、かまわずに、僕の体に触れながらあの声で囁かれるのだ。僕は、その度に、体の奥が痺れるような熱を持ってしまって、とても迷惑している。 それも、今までなら端からみても微笑ましいぐらいのことでしかなかった。 しかし、今では、違う。 奴は、がちで、僕を狙っているのだ。 理由は、異世界の覇者となるためだった。 僕を手に入れる者が異世界グロウザーの覇者となる。 そんな、迷惑なことを言い出した女神セナが僕は、心底憎かった。 もし、そんな取り決めがなければ、たぶん、天音と奏だって、征一郎だって、僕のことなんて歯牙にもかけなかったのに違いなかった。 僕は、希少種だ。 確かに、希少種には、美形が多いとか言われているが、僕は、例外だった。 寸足らずで、どちらかというと童顔の僕は、自分でいうのも何だが、どちらかというとかわいいといわれることが多かった。25才にもなっても、まだ、生徒と間違われたりするし、ひどいときには、身分証明書を出すように言われたりする。
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