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その時、自分の腹の部分に何かうごめく感覚に気づき、視線をゆっくりと仰向けに寝ている自分の腹の部分に向けた。
「……」
そこには顔の皮膚がただれ、眼球が飛び出し、濡れた長い髪の纏わりついた頭部が1つ。
不気味な唸り声を上げ、私が瞬きをすると、その瞬きにあわせるように私の顔のほうへと近づいてくる。
そいつは瞬きをしなければピクリとも動かない。
「……」
私には霊感が全くない。
そんな私が、これほどまでくっきりと霊体を認識する事が出来るだろうか。
いや、ありえない。
つまりココは夢の世界。
「あーまじかよ、駅名忘れちゃったんですけど……」
そう呟いている間も、幽霊は私の元に徐々に近づいてくる。
さて、ココからは又『明晰夢』と言うわけだ。
つまり、自分の願いが全てこの世界では繁栄される。
例えば、目の前の化け物の頭部を掴むことだって可能なのだ。
そう思った私は近づいてくる頭部を掴み、両手で確りと抱きしめた。
「捕まえた」
そう呟くと、また激しい眠気に襲われる。
まずいな、これ以上この世界で意識を保てそうにない。
願わくば次見る夢も『明晰夢』でありまあすように。
そう思い、私は化け物の頭部と共に眠りに落ちた。
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