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「あぁ、藤田さん。どうしました?」
『うちの旦那来てない? 来てたら帰ってくるよう言ってくれないかな』
「分かりました。おいででございますよ。では、そのように伝えますね」
最後に失礼します。と言ってから、公衆電話を切った。
その私の様子を察したのか藤田さんは眉間に縦皺を作りながら、こちらを見た。
藤田さんは三月に定年退職したばかりの方だ。それまでちょくちょく、訪れていたが、四月に入ってから午後に来る回数が増えた。
「藤田さん。奥さんが帰ってきて下さいって」
「あぁ、分かったよ。ったくよ」
藤田さんは、急いでフォークを進める。
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