突き落とし事件

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「こちらこそ、すみません」  礼儀正しい若者の声。  その声がすぐに誰なのか分かった。  村井君だった。細くて長い足にジーンズは相変わらず様になっている。黒いシャツに、紺色に赤のラインが入ったパーカーはとてもお洒落だった。 「村井君」  私は目を白黒させてしまった。初めての来店だ。 「いらっしゃいませ。こちらへどうぞ」  私の声を聞いたママが私の顔をニヤニヤ見つつ、村井君に促す。 「真理子ちゃんの弟さん?」
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