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 しかし、ほとんどは女性目当てで訪れるだろう。 「村井君のお父さんは、女性目当てで行ってるの? それともお仕事で?」  幼稚くさい質問であることは百も承知で問うた。 「今の父はちょっと変わったかな。もう女性に手を出さなくなった」 「あら、そうなの」  改心したんだな。なんて思っていると、村井君が少し意味ありげに嘲笑した。 「父の『三号さん』」 「あぁ、斉藤さんね」  村井君のお父さんの『妾』のひとり。私も一度お会いしたことがある。斉藤さんにはひとり息子の淳二君がいらっしゃって、村井君の腹違いの弟に当たる。 「彼女ね、結婚したんだよ」
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