昭和大学生 夏子は謎解き男子に振り回される２

２

　優しく歓迎するような口調で私に手を差し伸べた。私はその手を握り「こちらこそ宜しくお願いします」と、頭を下げた。
　その奥にいる五人の女性のうちの三人は、その話を耳をダンボにして聞いている。そして冷ややかな視線が私に向けられる。怖かった。
（あぁ、この人たち村井君を狙っていたんだな……）
　すぐに理解した。村井君はその女性らを垣間見ただけで、目を逸らした。
「あの」
　私はこの状況が怖くなってしまい、村井君のお父さんに解説を求めようとした。それを察したらしい。
「あぁ、彼女らはJパルロ航空のスチュワーデスでね、うちの焼き菓子を試食してもらっている。機内で提供することになってね。そしてあちらに見えるのが、Jパルロ航空の社長さんだ」