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 私は少し失望を覚えた。そんなに怖い視線を突きつけなくても。目をつり上げてこちらに容赦なくぶつけてこられて、私は石を投げられた犬みたいな気分になってしまった。 「ははは。彼女らはね、昭彦が目当てだったんだよ。それが君みたいな綺麗で若い彼女を連れてこられて、腹が立って仕方がないんだろうな」  村井君のお父さんはそのまま言う。そんな横で村井君は短く嘆息してまた、天井を眺めた。 「機内でのスマイルは営業スマイルだよ。仕方ない」  そんなとき、その中で一番年上だと思われるスチュワーデスが近づいてきた。ピンクのワンピースにウエストは細いベルトでキュッと締められている。女優というより、ポスターのモデルのような雰囲気の女性だった。 (村井君って年上の女性にもモテるんだ……)
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