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それは多分、お金目当てもあるかもしれないけれど。  私はこの状況にいたたまれなくなり、小さくなり、壁側にもたれた。楽しみにしていた心は萎んだ。 「この前の日曜日、映画に行くって約束していたのに、来なかったじゃない」  その年上の女性は小鼻を膨らます。 「そんな約束をした覚えはない。僕は行くと言っていないぞ」  村井君はキッパリと反論した。  私は何度も目を瞬きしながら、ふたりの様子を見ていた。 (村井君って黙っててもモテるんだなぁ)  同じ学校の女子学生にも、年上のスチュワーデスにも。 (大変な人と付き合ってしまったかもしれない)
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