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村井君はムッとした声を出してから続ける。
「彼女に声をかけたのは、父のほうだ。全く隙がないんだから」
村井君は、とっくに男性社員のほうに向かって行った、お父さんの背中を睨む。
もう女性とは関係を持つことを絶ったとはいえ、飛行機の中では綺麗なスチュワーデスを見ると声をかけてしまうらしい。
「父のせいで、僕のほうにとばっちりが来た」
「……。そうだったんだ」
ちょっと笑いそうになってしまったのを、グッと我慢する。確かにスチュワーデスだって、もう既に結婚している村井君のお父さんより息子のほうに興味があっても仕方がない。
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