昭和大学生 夏子は謎解き男子に振り回される２

突き落とし事件

しかし、カウンター席は空席。十五時のおやつの時間は、ホットケーキやパフェ、ケーキがとても売れる。十六時を過ぎると帰り始める。
　ここでバイトをしているお陰でホットケーキを作るのも、大分、自信がついた。
　十六時前、店の公衆電話が鳴った。
「ごめん。なっちゃん出てくれる？」
　ママは今、チョコレートパフェを作っていた。なので私は公衆電話を取る。
「はい、喫茶店『ラタン』です」
『あー、なっちゃんかい？』
　この声は常連客の藤田さんの奥さんの声だった。藤田さんは、新聞を読みながら奥の席で珈琲を飲み、チーズケーキを堪能していた。