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プロローグ
時間はもうすぐ0時になろうとしている。
校庭に足を踏み入れた時に感じたのは、懐かしさより、あの頃の重苦しさだ。
毎日毎日、学校に行くのが本当に嫌であった。
行けばまた、たくさんの嫌がらせを受けて、誰もがそれを見て見ぬふりをする。
校庭を一回りしてみたが、「あの頃より小さく見える」とベタなことしか思い付かなかった。
無論、校庭なんて体育の授業以外で使ったことなどなかったが。
この思い出の学校の、自分達が卒業した教室でこれから起きることを考えると憂鬱になる。
しかし、どうしてもやらなくてはいけない。
あの頃の復讐を果たさなくては、あの頃の自分が浮かばれない。
正面玄関のドアを引いてみたが、もちろん開くことはなかった。
それは、押してみても同じだった。
ガチャガチャと、不規則な鍵の音が鳴り響くだけだ。
このまま続けていたら、いつか壊れてしまうのではないかと思うくらい古ぼけている。
自分達が通っていた頃からこんなにボロかったかと思い出してみた。
それとも、15年という年月が、自分達が確実に年を取っていくのと同じように、学校自体も年を取っていったのだろうか。
ある場所から学校内に入るとき、ポケットに入っている物体をもう一度触って確認してみた。
間違いなく、そこにあった。
冷たい感触が、指先に伝わってきた。
それは、物体自体の冷たさなのか、これから起こる事への恐怖による冷たさなのかはわからない。
おそらく、どちらもだろう。
肝試しにでも使えるレベルの薄暗さと恐怖を兼ね揃えた廊下と戦いながら、教室へ向かった。
様々な思い出が詰まった、3年1組の教室へ。
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