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「ふぁあ~。」
おおあくびをしながら大学に向かう青年・眞鍋正人(まなべまさと)は、横浜市内の大学に通う二年生だ。
今日で、前期のテストも終わり、明日からは夏休みとなるため、昨夜は一夜漬けでテスト勉強に精を出していた。
「よっ!正人。その様子じゃ、昨日寝てないな?」
正人の背後から肩を叩いたのは、正人の同級生の嘉門宙(かもんひろ)だ。
「ヒロは元気そうだな。てか、お前は頭いいからなぁ。」
「違うって。頭は皆一緒!いかに効率的に勉強したかによるわけだ。とはいえ、まぁ、今日のテストも俺の勝ちだな。」
「…くそっ。」
正人は、ニヤニヤしながら言い放つ宙の頬をつねった。
大学に着くと、テストを受ける教室に向かった二人だが、正人は前方を歩くカップルが気になり凝視していた。
そんな正人に宙が気が付いて、ニヤニヤしながら聞いた。
「…お前、何見てんの?あの美男美女カップルが気になるのか?」
「あ、いや、何かさ、あの男のバックからうっすら煙出てないか?」
そう言われた宙は、男が背負っているバッグを凝視した。確かにうっすら煙が出ていた。
「ホントだ!何か燃えてんのか!?」
次の瞬間、煙の量が何倍にもなり、隣を歩いていた女も漸く煙に気が付いた。
「ケイタ!!カバン、カバン!」
女が男のバッグを指差してた瞬間、ボワッという音とともにバッグが燃え上がった。
「うわっ!」
「ヤバイって、あれ!」
「け、警察か!消防か!?」
「離れろぉ!!」
正人たち、周囲は一瞬で騒ぎ出した。
……………………あれ?
「…え?」
周囲にいた者は皆、目を疑った。
男が背負っていたはずの燃え盛るバッグが、一瞬で無くなっていたからだ。
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