5人が本棚に入れています
本棚に追加
「『じいちゃん、ばあちゃんへ
心配かけてすみません。二人には小さい頃あんなに可愛いがってもらったのに、自慢の孫にはなれませんでした。
何度も何度もやり直そうとは思っても、事がうまく行かずにイラついた結果、今のような罪を重ねています。
一つだけ信じてください。自分は一度、警察に出頭したんです。でも、警察はお前は国民捕獲官ターゲットに指定されている、お前はゲームの的になったと、警察では受けれてくれませんでした。
自分はしばらく港小屋で身を隠します。
お身体ご自愛ください。
栗村源次郎』
…はぁ!?出頭しても警察が逮捕しない!?本当に警察ってのは何のために存在してんだよ!」
桜庭は理解できずに思わず大きな声を出した。
「ちょ、桜庭さん…?」
「あ、すみません!感情が高まっちゃって…つい。…でも、栗村が書いたこの手紙の内容が本当だったら警察ってのは終わってますね。」
「そうですね。ゲームっていう表現も国民捕獲官を愚弄してますよね。…でも、この手紙には大きな手掛かりになりましたね!」
圭介は、手紙の一部分をカメラに近付けた。
「えぇ、“港小屋”ですね。でも、港はありますが、どの建物かは行ってみないと全くわからないですね。」
「…確かに。でも、この書きぶりだとさっき連れて行かれた祖父は知っているようですね。…警察署に行って、話を聞きましょう。」
「そうですね、行きましょ。」
「桜庭さん。」
「な、何ですか?」
「警察署に行っても感情はあまり出さないでくださいね。」
「…………はい。」
二人はまた遺体に手を合わせ、家の勝手口から外に出た。すると、調度パトカーが2台サイレンを鳴らして近づいてくるのがわかった。
「…来たか。」
パトカーは栗村の家の前に停車し、刑事が数人降りてきて玄関を開けようとしていたが開かず、一人の刑事が圭介のいる勝手口に回ってきた。
「うわっ、…ライトボックス?…ったく、この地区で国民捕獲官が選出されてたのかよ。相変わらず警察には情報寄越さねぇな。」
目付きの悪いその男性刑事は、ライトボックスのカメラを睨み付けた。
「居んのか?この箱の中に。」
当然、桜庭のモニターにもその刑事がアップで写し出された。
「…こわっ!」
桜庭は益々警察が嫌になった。
最初のコメントを投稿しよう!