化け化けアイス

10/33
前へ
/72ページ
次へ
「寒いですね……」  二十分後、壱花と子狸たちはストーブを囲んで震えていた。 「アイスの食べ過ぎだねえ」 と笑いながら、高尾もストーブにあたっている。  同じくストーブの前にいる冨樫が壱花に向かい言った。 「お前ら、文字焼きでもなんでも、いつも作りすぎなんだよっ」 「冨樫……。  その『お前ら』の『ら』に俺も入ってないか?」 と冨樫の横でストーブで手を(あぶ)りながら、倫太郎が言う。 「ああっ、すみませんっ」 と冨樫は慌てて謝っていた。  入ってないと言えばいいだけなのに。  冨樫さん、莫迦正直だな~と思いながら、壱花は見ていた。  まあ、私なら、入ってないと言った瞬間に半笑いになってしまってバレるかな、と思う。
/72ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1008人が本棚に入れています
本棚に追加