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まだまだ寒いな、と思いながら、冨樫はコートの前をかき合わせ、いつものように、あやかし駄菓子屋に向かっていた。
ビル街の角を曲がると、薄暗い路地が現れ、公園の向かいに、駄菓子屋の灯りがぽつんと見える。
……やばい、と冨樫は思っいてた。
何故、毎度こうもすんなり、たどり着いてしまうのだ。
今日なんか仕事も順調で、まったく疲労も感じないのに。
疲れた人間以外、たどり着けないはずのあやかし駄菓子屋が、またあっさり目の前に現れた。
俺も風花みたいに、あやかし化してるんじゃないだろうな、と冨樫は不安になる。
壱花が聞いていたら、
「いやいやいやっ。
私もあやかし化してませんけどっ?」
と叫んでいたところだろうが。
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