冨樫のミス

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「……やっぱり、甘酒わかしましょうか」 と濡れてやってきた彼らを見ながら、ちょっと笑って、壱花は言った。  雨だれの落ちる軒下を見て呟く。 「そういえは、冨樫さん、疲れ果ててるはずなのに来ませんね~」 「此処に来たら、お前が騒動起こして、余計疲れそうだからじゃないか?  こんな日は、寄り道せずに帰って、ぐっすり寝るのが一番だよ」 と倫太郎自ら、この店の存在を全否定するようなことを言う。 「気分転換も大事だと思いますけど。  冨樫さん、真面目ですからね~」 と言いながら、壱花は蝋燭の怪談が一区切りついたところで、せーのっ、と奥の座敷の戸を開け、駆け込んだ。
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