化け化けアイス

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「そうなんですか。  ああ、アイス食べますか?」 と壱花はレジのあるカウンターを振り向くと、お弁当などに使うアルミカップを差し出してきた。  中には懐かしいような色の少しとけかけたミルクアイスが入っており、赤いさくらんぼがのっていた。  木の使い捨てスプーンを渡される。 「ご試食どうですか?」  壱花は串にささった丸いカステラを眺めていた、さっきのサラリーマンにも声をかけていた。  あ、ありがとうございます、と壱花を見て、少し赤くなりながら、サラリーマンはそれを受け取っている。 「待て、風花。  ご試食って、これ、売り出すつもりなのか?」 「美味しくできたら、売ってもいいかなーって。  みんな楽しそうだし」 と壱花は子狸たちを見る。  人間の子どもの姿をしているのも、狸のままのもいるようなのだが。  サラリーマンには人間の子どもの姿になっていない狸は見えていないようで、微笑ましげにボールを蹴っている子どもたちを眺めていた。  この子たち、なんでこんな時間に店にいるんだ? とは思っていることだろうが。
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