1002人が本棚に入れています
本棚に追加
/72ページ
「アイス、もうひとつ、どうですか?」
「いや、もういい」
と冨樫がアルミカップを返すと、壱花は食べ終わったサラリーマンからもそれを受け取りながら、
「アイス、もうひとつ、いかがですか?」
と訊いていた。
「いっ、いえいえ、もう結構ですっ。
ありがとうございますっ。
美味しかったですっ」
サラリーマンはそう言って断ったあとで、駄菓子をいくつか買い、寒い夜の街に身を震わせながら出ていった。
入れ違いに倫太郎がやってくる。
「ありがとうございますー」
といまいちやる気のない声でサラリーマンを振り返り言った倫太郎は、
「壱花。
買ってきたぞ」
と白いビニール袋を壱花に向かい突き出した。
中にはアイスの材料が入っているようだ。
最初のコメントを投稿しよう!