化け化けアイス

7/33

1002人が本棚に入れています
本棚に追加
/72ページ
「あー、寒かった」 とストーブで手を(あぶ)ろうとする倫太郎にも壱花はアルミカップを差し出した。 「アイス、どうですか」 「……今、寒かったって言ったろう」 と倫太郎は受け取らない。 「作りすぎたんだな……」 と冨樫は呟いたが。  作りすぎてるわりには、更に材料を買い足し、まだ蹴っている。 「いや~、楽しいんですよ。  蹴るとアイスができてるっていうのが」 と言いながら、壱花はボウルを拾う。  わくわくした顔の子狸たちとカウンターでガムテープをはがし、開けていた。 「はい、()いたよ~」 と言いながら、奥の座敷から高尾が出てくる。  その手にはさくらんぼの小さな缶がふたつあった。 「さくらんぼのってると、なんかいいよね」 と高尾は笑う。
/72ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1002人が本棚に入れています
本棚に追加