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「あー、寒かった」
とストーブで手を炙ろうとする倫太郎にも壱花はアルミカップを差し出した。
「アイス、どうですか」
「……今、寒かったって言ったろう」
と倫太郎は受け取らない。
「作りすぎたんだな……」
と冨樫は呟いたが。
作りすぎてるわりには、更に材料を買い足し、まだ蹴っている。
「いや~、楽しいんですよ。
蹴るとアイスができてるっていうのが」
と言いながら、壱花はボウルを拾う。
わくわくした顔の子狸たちとカウンターでガムテープをはがし、開けていた。
「はい、開いたよ~」
と言いながら、奥の座敷から高尾が出てくる。
その手にはさくらんぼの小さな缶がふたつあった。
「さくらんぼのってると、なんかいいよね」
と高尾は笑う。
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