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「昔の喫茶店のバニラアイスみたいでさ。
ほら、銀の器に入ってるあれ」
「いいですよね。
アルミカップがそれっぽくて。
このまま売り出しましょうか?
化け化けアイスとか名付けて」
と壱花が言った。
「……どの辺が化け化けなんだ。
食べると、あやかしになるとか?」
そう冨樫が言うと、いえいえ、と壱花は笑う。
「単にあやかしと一緒に作って、この店で売ってるので」
だが、それを聞いた高尾が唐突に、
「あ、それ、いいねえ」
と言った。
「食べると、なにかが起こるアイス。
煙みたいにどろんと消えるとか」
「透明人間になるとか?
そういえば、カードを指でこすって、その指をすり合わせると煙が出るのってありましたよね。
あれで指をこすりながら、アイス食べて、どろんと……」
と言う壱花を、
「みんなが透明人間になったら、危なくて歩けないだろうが。
何処でぶつかるかわからないのに」
と諌めるフリをしつつ、倫太郎はビニールにアイスの材料を詰めていた。
楽しんでますね、社長も……と思ったとき、壱花が言った。
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