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あら、今日も来てくれたのね。嬉しい。だって、貴方のおかげで暇をしない日常を送れているんだもの。
そうね、貴方も年を取ってしまったわね。私だけこうして貰って…いえ、何でもないわ。ただ少し、昔のことを思い出していたの。
仕事帰りに、くたびれたスーツでここまで来てくれていた頃の貴方も、嫌いじゃなかったわ。本当、いつになっても忙しそうな人ね。まぁ、忙しそうにしているのは、いつも私の我儘のせいなのだけど。
え?プレゼント?ありがとう。嬉しいわ。私の好み?そんなことはどうでもいいのよ。大好きな貴方からプレゼントを貰える。ただそれだけで私は幸せだわ。
あら、赤いドレス…?綺麗ね。どう?似合ってるのかしら。とても高そう。
えぇ、ありがとう。貴方にそう言ってもらえるのが嬉しい。
でも、貴方にも魅力はあるのよ。
たまにかっこいいことを言ってくれるところも、優しい表情も、眠気を誘うような安心感のある声も。年を追うごとに良さが際立っていると思うの。
他にも、もっといいところがあるの。
でも言えない。話せなくなってしまったから。
あなたの目、とても優しくて、どこか儚いの。そのまま貴方が消えてしまうんじゃないかって、たまに不安になってしまうわ。そういう時って、必ず景色が曇るの。でも、その曇りを払ってくれるのも貴方なの。
私が自分でこれを望んだの。ありがとう、貴方のおかげね。
私はずっと私のままで、今もこうして、貴方の隣にいることができるのも。
ありがとう。感謝してるわ。
ずっと優しい貴方を、ずっと隣で。
そう。貴方のその眼差し。なぜか子犬のように見えて、とても儚いの。
貴方って、まるで、優しさで作られているんじゃないかって思うほど優しい人よね。
柔らかい仕草。朗らかな雰囲気。
貴方がいれば他には何もいらないわ。
あぁ、埃が付いているわ。拭いてくれるかしら。
あぁ、指先にヒビが、また直してくれる?
あぁ、私だけ、年をとれないのね。
でもいいのよ。貴方がいれば。貴方さえいてくれれば。それで。
私、貴方がいなくなってしまったら、どうすればいいのかしら。
貴方が私の唯一のよき理解者で、恋人であるというのに。
不安なってしまう。不安になって、今にも崩れ落ちてしまいそう。
あぁ、貴方の声。すごく落ち着く。安心する。
もう大丈夫よ。貴方のおかげね。
私の望みも、貴方のおかげで叶ったの。貴方からすれば大昔の話かしら。
そう。私達は制服で、学校に通ってた。
辛い思いをさせてしまったのならごめんなさい。でも、あの我儘はどうしても聞いてほしくて。あわよくば、貴方にかなえて欲しかったの。
えぇ、私が貴方に言った時のこと。私の我儘を覚えてくれているの?嬉しい。
ねぇ、私の最後の我儘を聞いてくれないかしら。
貴方には、私の隣にいて欲しいの。
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