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二人で迎えた、初めての朝
朝日が差し込むベッドの中で私は目覚める。
毛布をめくると現れるのは、一糸まとわぬ体。
……。
……。
……。
……。
……。
なにやってんだ、私……。
パジャマも着ないで。
あ、やばい。昨日どうやって家に帰ってきたか、全然思い出せない。
お風呂に入ってそのまま?違う、部屋中に昨日着てたスーツが下着と一緒に脱ぎ散らかしてある。
ああもう、ちゃんとハンガーに掛けとかないと皺になっちゃうじゃないの!
う……頭痛い。二日酔いだぁ……。
まったく、昨日の私を殴ってやりたい……。
その時ベッドの端で毛布がモゾっと動く。
……え?
なにか……連れ込んだりしてる?
やばいやばいやばい。
昨日はどうしたんだっけ?
会社の飲み会とかそんなのに参加した記憶はある。
週末だからって、遠慮なく飲んで……飲んで……♪飲まれてー飲んでー……逃避やめ。
恐る恐る毛布をめくる。
かわいい猫ちゃんとかだよね。
行きずりの……とかそういうのじゃないよね?
肌色が見えた。
素早く毛布を戻す。
はい残念、猫ちゃんじゃありませんでしたー!
今まで割と仕事一筋っていうか、仕事以外大した人付き合いもせずに来たっていうか、そういう感じの人生だったけど、今、ここで、そろそろ40代の足音が聞こえてくる今日この頃、酔った勢いとかでそういうことしちゃうの?私。
「んー……」
うわ、起きた!?
這い出して来る!?
こ、来ないで!こっち来ないで!
毛布から這い出してきたのは……這い出してきた男は……這い出してきた全裸の男は……。
身長120㎝ぐらいの小型の男性でした。
あれ?なにこれー?股間にちっちゃなゾウさんがパオーン……。
なにやってんだぁぁぁぁぁぁ!?!?!?!?!?!?!
わたしぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?!?!?!?!?!?!
小学生低学年男子を自宅に連れ込み、あまつさえ全裸に剥いて同衾、だと……!?
人としてダメ!ゼッタイ!なことしちゃってるよ!
まだ眠そうにあくびをしている少年に、私は問いかける。
「ききききき君はだれ!?」
「川城雄太だよ。おばさん昨日も聞いたのに、もう忘れたの?」
川城さんね。
川城川城川城川城川城川城川城川城川城川城川城。
……ダメだぁ。その苗字の人、全然知らない。
知人の川城さんに「明日忙しいから、うちの子預かってよー、お願い!」って言われた可能性も消えました!
「どどどどどこから来たのかな?」
焦るな逸るな、まだ負けと決まったわけじゃない!
たまたま私がドアに鍵をかけ忘れたので夜の間に勝手に入り込んだ、という可能性だって、微粒子レベルで存在しているじゃないか!
「?……おばさんが「うちにおいで」って言って手を引っ張って連れてきたんだよ」
はいー!終了ー!
誘拐事案発生ですー!
おまわりさーん、私が犯人ですよー!
<<つづく>>
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