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「姉貴、何か変なことを言ってないだろうな?」
いつも余裕そうで、軽薄なイメージの強かった誠真のその表情を見て、日葵はクスリと声が漏れた。
「こんな誠真初めて見た」
「うるさい」
苦虫を潰したような誠真は、反撃するように日葵を見据える。
「姉貴だって、ようやく壮兄と……」
父親譲りのイジワルそうな表情の誠真の頭を、日葵はペシっとはたく。
「うるさいよ」
そんな姉弟のやり取りをしていると、壮一の声が聞こえる。
「日葵」
甘く響く声に誠真が壮一を驚いたように振り返る。
「やばっ、今の壮兄の声かよ」
そう言葉にしてしまい、また壮一に叩かれる誠真を咲良が笑いながら見ていた。
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