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その後、運転を変わるという壮一の言葉に、日葵は素直に従うと助手席へと移動した。
コーヒーを飲みながら、ぼんやりと外の風景に目を向けた。
そして、初めのころの壮一の態度を思い出した。
「ねえ? どうして謝る気になったの?」
すっかりさっきのままため口になっていたが、日葵はそれに気づかず、胸の中の棘が抜けたような気持だった。
そして少し意地の悪い質問だと思ったが、日葵は初めのころの態度とは違う壮一に問いかけた。
「ああ……」
壮一は少し考えるような表情をしたあと言葉を発した。
「戻ったばかりのときは日葵をこんなに傷つけてるなんて思ってなかったんだよ。大人になった日葵はもしかしたら、あの時のことなんてこれっぽちも気にしてない。その可能性だってゼロではないだろ?」
確かに、この離れていた時間のお互いのことはわからない。
その可能性だってなかったわけではない。日葵はそう思うと小さく頷いた。
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