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「それで?」
「親父の会社に入ったけど良かったかって。俺だって誠さんの会社に入ったわけだし全く問題ないって答えたよ。本来、やりたいことが逆だったらよかったなって話をした」
確かに壮一も誠真も自分の父親の仕事を継ぐのがよかったのかもしれない。
でも、今はまだお互いのやりたいことが逆だ。
「そうだね」
そう答えた日葵は、チラリと壮一に視線を向けると瞳がぶつかる。
どちらからともなく、視線を逸らすと、壮一が静かに言葉を発した。
「その時聞いた。どれだけ日葵が傷ついて目も当てられないほどだったかって……」
(誠真……)
確かにあのことは、誠真の優しさもすべて無視して、一人の世界にこもっていて心配をかけたのだろう。
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