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変化する関係
あの日以来、少しずつ壮一との関係は変わって行った。
日葵が望んだとおり、兄として家族としての関わりになってきたかもしれない。
あの名古屋からの帰り、二人でクタクタになり家へと戻りお互いの家の前で、日葵は壮一に呼び止められた。
『日葵、もう一度昔の関係に戻りたい。仲が良かったころに。それは無理?』
その壮一の言葉に、日葵は無意識に言葉を発していた。
『私も戻りたい』
きちんと謝ってくれたのだから、これ以上意地を張る必要もなければ、ここからは壮一の負担になるようなことは避けたかった。
自分の幼さから壮一を苦しめてしまったことも、日葵の中で後悔の念があったのかもしれない。
週末の金曜日、名古屋から帰ってきてからもハードワークで疲れ切った顔をしていた壮一に、みかねて日葵は食事を食べに来るようにメッセージを送った。
もしかしたら断られるかもと思ったが、すぐに壮一からは終わったら行くと返事がきた。
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