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「おはようございます」
会社のエントランスに入ったところで、柚希に声を掛けられ、日葵は笑顔を張り付ける。
あの後、まったく頭を整理できるわけもなく、眠れない週末を過ごした。
壮一のことも、自分のことも日葵は整理することなどできはしなかった。
自分は今、壮一にどういった感情を持っているのだろう。
そして、壮一はどう思っているのか?
そんなことを考えてももちろん答えなど出る訳もない。
日葵の顔はむくみがひどく、なんとか化粧でごまかし週明けの月曜日出社していた。
「おはよう、柚希ちゃん」
「調子悪いですか?」
柚希にもわかるほどの顔なのか、そう思うと日葵は心の中で小さくため息を付く。
「大丈夫。それよりもうすぐだから頑張らなきゃね」
自分のミスでいろいろな人に迷惑をかけたのだ。当たり前だが今は壮一のことより、仕事を優先すべきだと日葵は自分を叱咤する。
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