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「すぐにこのSテックに連絡を入れてくれ。後、パーティーの人数も変更になっているみたいだから確認して、手配してくれ」
資料を日葵の目を見ることなく壮一は渡すと、すぐに違う連絡を始めた。
今日は何か大切な打ち合わせがあるのだろう、いつもよりピシッと整えられた髪に、スリーピースの濃紺のスーツ。それを完璧に着こなし、片手にパソコン、もう片方にスマホで話をする壮一に、日葵は小さく返事をする。
何もかもあの日のことなどなかったように、いつも通りだ。
デスクに戻り、すぐに受話器を取ると電話を入れる。確認事項を終え、ボールペンを走らせていると、柚希が壮一のところへ書類を持っていく前に、日葵のデスクの横で止まる。
「チーフ、相変わらずすごい仕事量ですね」
「そうね」
事実を答えることしかできず、日葵は曖昧に返事をすると柚希に視線を向ける。
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