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「お疲れさま」
あの日以来、もちろん社内で姿をみることはあったが、会話らしい会話を日葵はしていない。
もちろん仕事が忙しかったこともあるが、なんとなく気まずかったのも事実だ。
「お疲れ様です」
複雑な気持ちのまま日葵は小さく微笑んだ。
「少しだけいい?」
「はい」
この状況で嫌ですと言えるわけもなく、日葵は小さく頷くと駅には入らず崎本と歩き出した。
「疲れた顔をしているね。体調は大丈夫?」
「はい。仕事も大詰めですし」
当たり障りのない答えを返しながら、崎本の表情を見ればいつも通りの崎本で、日葵はホッとする。
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