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ずっと自分のことを甘やかし、見つめてくれた崎本。頑な自分をずっと見守ってくれた。
しかし、日葵の頭に不意に『もう昔には戻れない』そう言った壮一の表情が思い浮かぶ。
ずっとあれほど憎んでいた壮一、しかし再会して弱い所をみとめて謝罪してくれた。
だからといってなんだというのだろう。
ぐちゃぐちゃな自分の気持ちがわからず、日葵は俯いて自分の手をギュッと握りしめた。
きっと崎本はそんな日葵の気持ちなどお見通しなのだろう。
「迷っているという事は肯定と受け取るよ」
珍しく日葵の気持ちを聞くことなく、言い切った崎本に日葵は驚いて顔を上げた。
「当日は一緒にいってもらうから。時間を取らせてごめん。気を付けて」
それだけを言うと、崎本は静かに歩いて行ってしまった。
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