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朝から街中クリスマスソングがながれ、楽し気なカップルがたくさん溢れている12月24日。
「ようやくですね」
柚希の声に日葵は小さく頷いた。
「今回のこのfantasy worldは、最新の技術と映像を駆使して作られております」
壇上で完璧な姿で発表をする壮一を、日葵と柚希は会場の後ろで見守っていた。
マスコミ関係者からも感嘆の声が漏れ、問い合わせも多く各ゲーム雑誌などからも取材が殺到している。一日早く始まった予約もかなりの予想を上回る数字で、さらにこの発表で伸びるだろう。
そこには完璧に出来上がった「新しい始まりの世界」の映像が壮一の音楽と一緒に流れていた。
雄大な映像と、迫力の中にも繊細さの感じるオーケストラの音が壮大さを広げている。
(やっぱりすごい……)
壮一の才能をまざまざと確認して、日葵はただその映像を見ていた。
映像の最後に主人公の男の子と女の子がそっと手を取り合う。そしてあの、車の中で聞いた壮一の曲が切なく流れていた。
『さあ、新しい未来に……』
その言葉で映像は締めくくられていた。
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