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「みんなお疲れ様」
発表を終えネクタイを少し緩めながら小さく息を吐き、壮一はチームのみんなに声を掛ける。
「チーフ、お疲れ様でした!」
「感触よかったですね!」
苦労して作り上げてきたものが、好感触だったことにみんなが興奮気味だ。
「ああ、これもみんなのお陰だ。今日はこの後思う存分食べろよ」
「はい!」
数十人いる部屋は熱気と興奮で溢れ、それだけで今までの苦労が解る気がした。
「長谷川と柚希もお疲れ」
完璧な上司の笑みで言葉をかける壮一に、日葵はただ小さく頷いた。
「お疲れ様ですチーフ。顔色悪くないですか?」
それは日葵も思っていたが、到底口にすることなどできなかったが、柚希が心配そうに声を掛ける。
「このところ忙しかったからな。大丈夫だよ」
ポンと柚希の頭に触れると、壮一はクルリと踵を返し役員の元へと行ってしまった。
そんな二人をただ日葵は感情を殺すように見ていた。
私が選ぼうとしていることは、こうしてずっと壮一の隣に誰かがいるのを見ていくことなのだろうか。
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